リニア工事 水枯れに怒り!!

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          “説明遅い” “信用できない”

  岐阜・瑞浪市

 JR東海が巨大プロジェクトとして進めるリニア中央新幹線。トンネル工事にかかわって岐阜県瑞浪(みずなみ)市大湫(おおくて)町で発生した水位低下の問題は、マスコミ各社も大きく報道など、県内外から注目されています。課題が山積するリニア建設に、県民からも怒りの声や慎重な意見があがっています。

 水位低下をめぐってJR東海は10日、千本の大湫町住民に対する説明会を非公開で開催しました。この件に関してJR東海は日、地元の大湫町住民に対する説明会を非公開で行いました。住民約50人が参加した説明会は2時間を超え、「地元に知らせるのが遅い」「2月の時点の私たちの声を聞いて工事を止めてくれなかった。JRを信用できない」など批判的な発言が続出。「住民をいじめてもいいのか。環境を壊してもいいのか。そんな法律はあるのか」と怒りの声が会場の外まで聞こえました。

 丹羽俊介JR東海社長の「きめ細かくコミュニケーションをとる」(6月4日古田肇知事との面談で)のことば通り、これらの声をしっかりと受け止めた誠実な対応が求められます。

 2月に水位低下

 大湫町では、2月下旬から井戸やため池の水位低下がみられ、その時点で住民が声をあげていました。しかし、住民の要望で第1回の住民説明会が開かれたのは5月13日でした。

 その場でJRは、「調査の結果計14カ所の水位低下が確認された」と明らかにし、トンネル内で起きている湧水が水位低下に影響しているとにんてい。「代替水源を確保するため、深井戸と浅井戸の設置、上水道への切り替えなどを行う」「トンネル掘削工事は継続する」と説明しました。

 急激で経験のない水枯れに対する住民の不安の声は大きく、市と県は5月16日「直ちに工事を止め対策を講じてほしい」とJRに意見書を提出しました。

 JRは当初、工事を止めないとしていたが、5月20日に「工事を中断し、ボーリング調査を実施」と対応を変えざるを得ませんでした。現在は工事を中断して湧水を止めるための薬剤注入工事を行っています。

 専門家から批判

 県は専門家らによる「環境影響評価審査会・地盤委員会」を5月29日と6月4日に開催しました。委員らは「2月の水位低下の兆候ですぐに対策が取れなかったのか」「環境保全の視点が欠けている」「住民に分かりやすく説明しなければならない」「今後環境をどう修復していくのかを明確に示す必要がある」など厳しい指摘をしました。

 六価クロム検出

 この問題では日本共産党の犬塚利彦市議が現地に真っ先に足を運び、JR東海に対して、情報公開や今後の対応など住民への誠実な対応を求める要望書を提出しました。

 岐阜県内でのリニア建設をめぐってJR東海は11日、恵那市のリニア工事残土置き場近くの観測井戸で国の基準を超える有害物質「六価クロム」が4月に検出されていたと発表しました。

 検査結果が出てから県への報告が1か月も遅れており、地域住民の怒りが噴出しています。リニア建設が自然環境へ及ぼす悪影響を懸念する視線が、県内でも高まっています。

枯渇した井戸を見る中川裕子県議(左)と犬塚市議=9日、岐阜県瑞浪市
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