岐阜県関市平和委員会(ハチドリ)代表 安田 真澄さん(74歳)
岐阜県関市平和委員会(ハチドリ)で代表を務めている安田真澄さん(74)は、公共施設や銀行で「原爆パネル展」を開催するために奮闘しています。「若い人たちに平和について考えるきっかけをつくりたい」と、3年前からは中学校や高校での「原爆の絵・写真展」にも取り組んでいます。
2015年12月に活動を開始したハチドリ。会の名称はアンデス地方の民話「ハチドリのひとしずく」から取りました。
「この民話は、『私は、私のできることをやるだけ』と言って、森の火事を消すために小鳥が一滴ずつ水を運ぶんです。私たちも、平和のために一人ひとりが行動しようという思いを込めました」。
ある日、市内で開催した「原爆パネル展」の会場で「最近は修学旅行で広島に行く学校が少なくなっているそうです」と聞きました。それを聞いた安田さんは中学校や高校で「原爆パネル展」を開こうと決意し、行動を始めました。
「次年度の計画を立てる2~3月だと予定を組みやすい」と知り合いの教員から聞き、2月下旬からハチドリの会員が手分けして学校を訪問しました。
今年は、3月末までに訪問した関市と加茂郡富加町の全ての中学校と高校(中学10校、高校3校)で24年度の開催が予定に組まれることに。修学旅行で沖縄へ行くS校では、「学校から要望されて『沖縄戦パネル』も展示することになりました」と話します。
学校で開催するパネル展でも「原爆と人間」の写真パネル(日本原水爆被害者団体協議会作成)と「原爆の絵」(広島市立基町高等学校の生徒が被爆体験証言者とともに制作)を展示しています。
安田さんは、「パネルの展示だけでなく、直接生徒たちと対話することを大切にしたい」と強調します。パネル展が開催されるときには昼休みの時間に合わせて学校へ出かけ、生徒たちに原爆被害の説明をしています。授業時間を使って学習することを知らせてくれる学校もあり、授業にも出かけます。
「パネル展を見た生徒には感想を書いてもらっているんです」。感想を学校ごとに文集にまとめ、学校に届け生徒や教員に見てもらっています。「文集は、これまでに23冊作りました」。
寄せられた感想には、初めて目にする原爆被害の実相に対する生徒たちの素直な思いが表れています。
「全身やけどでドロドロになっている人や、死体が積まれているのを見て、日本でこんなことが起きていたのが信じられない」(中学3年生)
「現在も世界のどこかで戦争によって苦しめられている人がいることを忘れてはいけない。戦争がなくなるといい!」(高校2年生)
「校長や教頭、教員のみなさんからも『来年もぜひ来てほしい』と声をかけられています。司書が、パネル展に合わせて戦争関連本をレイアウトしたりする学校もあり、熱意を感じています」と語る安田さん。会員と共に笑顔で平和のひとしずくを届けています。